相続財産調査|預貯金の残高証明書・取引履歴の取り方

弁護士水谷真実
弁護士水谷

新宿区新大久保に事務所がある、相続で悩み苦しんでいる方達のサポートに力を入れる、弁護士の水谷真実です(→プロフィールはこちらです)。

相続が発生したとき、まず確認しなければならないのが「財産の全体像」です。不動産や株式と並んで重要なのが「預貯金」です。

このブログでは、預貯金に関する財産調査――具体的には「残高証明書の取得」「取引履歴の取得」について、自分でできる方法と弁護士に依頼する場合の違いをわかりやすく解説します。

💡 関連記事:預貯金以外の財産(不動産・株式・負債)の調査については、こちらもご覧ください。
👉 相続財産調査とは?
👉 相続財産と相続人の調査

 調査の目的🔍

残高証明書の取得

残高証明書とは、特定の時点における預金残高を金融機関が公式に証明した書類です。相続手続きにおいては、相続開始日(被相続人の死亡日)時点の残高証明書を取得するのが基本となります。

残高証明書が必要となる場面は主に二つあります。
一つは相続税の申告です。相続税は相続開始時点の財産評価額をもとに計算されるため、預貯金については残高証明書が評価の根拠となります。
もう一つは遺産分割協議です。相続人間で遺産をどのように分けるかを協議する際、各金融機関の正確な残高を把握しておくことが不可欠です。

取引履歴

取引履歴とは、口座の入出金の記録を時系列でまとめたものです。残高証明書が「ある時点の残高」を示すのに対し、取引履歴は「お金の動き」を示す資料であり、両者は目的が異なります。

取引履歴の取得が特に重要となるのは、被相続人の生前における使い込みが疑われる場合です。たとえば、認知症の進行とともに預金残高が不自然に減少しているケースや、特定の相続人が被相続人の口座を管理していたケースでは、取引履歴を精査することで不正な出金の有無を確認することができます。また、使い込みの有無にかかわらず、被相続人がどの金融機関と取引していたかを把握するための手がかりとしても、取引履歴は有用です。

取引履歴について

開示期間は銀行によって異なりますが、一般的に10年分が目安です。使い込みの調査目的などでは長期間分が必要になることがあるため、早めに申請することが重要です。

相続人自身でできる方法👤

相続人自身でも、預貯金の調査はできます。

必要書類📄

書類内容
被相続人の死亡が分かる書類除籍謄本・死亡診断書など
相続人であることを証明する書類戸籍謄本
申請者の本人確認書類運転免許証・マイナンバーカードなど
実印・印鑑証明書銀行によって求められる場合あり
被相続人の通帳・カード任意(あれば手続きがスムーズ)
💡 関連記事:複数の銀行に手続きする際、戸籍謄本の束を持ち回る手間を省く「法定相続情報一覧図」が便利です。
👉 相続が続いたときの法定相続情報一覧図の作り方
意識したいこと
  • この段階では遺産分割協議は不要です。あくまで「調査」だからです。
  • なお、相続の連絡をすると口座は凍結されます。公共料金の引き落としが止まるなどするので、事前の準備が大切です。
💡 関連記事:口座凍結後の払い戻し手続きについては、こちらで詳しく解説しています。
👉 【相続】凍結された口座からの預貯金の払い戻しの流れについて
👉 相続〜故人の銀行の預金の引き下ろしについて

 どこの銀行か分からないときの調べ方❓

「心当たりのある金融機関を一つずつ調べる」が基本です。以下の手がかりを活用しましょう。

  • 亡くなった方の通帳の履歴を見て、他の銀行に送金していないか確認
  • 書類の中に引き落とし口座の記載がないか確認
  • 郵便物(銀行・証券会社からの封筒)
  • カレンダーやメモ帳の引き落とし記録
  • 確定申告書、年金通知
  • 財布の中のカード
  • スマートフォンの銀行アプリ

弁護士に依頼する方法⚖️

以下のような場合は、弁護士への依頼が特に有効です。

  • 相続人が遠方に住んでいる
  • 平日に銀行へ行けない
  • どの銀行か全く分からない
  • 相続財産を正確に把握したい

弁護士は相続案件を受任することで、「弁護士会照会(23条照会)」を利用できます。銀行によっては、全店照会ができる場合があります。

内容説明
全店照会特定の銀行に対して、被相続人名義の全支店の口座の有無・残高を一括で照会
弁護士会照会上記を弁護士会名義で正式に要請 → 銀行は回答義務あり

相続人自身 vs 弁護士 比較表

比較項目相続人自身弁護士依頼
費用実費のみ
(証明書代・交通費など)
弁護士費用発生
銀行が分かっている場合✅ 直接申請可能✅ 郵送等でスピーディーに対応
銀行が分からない場合1つ1つ確認する必要あり✅ 全店照会で横断的に
調べられる場合がある
残高証明書の取得✅ 法定相続人なら直接請求可能✅ 代理取得可能
取引履歴の取得✅ 直接請求可能✅ 対応可能
使い込み・不当利得の追及⚠️ 法的手続きは難しい✅ 訴訟・交渉まで一括対応可能
手続きの負担自分で各銀行に対応低い(弁護士に一任)
スピード各銀行への対応が必要で時間がかかる照会・代理でまとめて対応でき早い

まとめ

預貯金の財産調査は、法定相続人であれば自分でも行うことができます。

ただし、「どこに口座があるか分からない」「使い込みの疑いがある」「相続人間で対立がある」といった場合は、弁護士への依頼が安心です。

まずは手がかりを集め、状況に応じた方法を選びましょう。

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この記事を書いた人

弁護士水谷真実

東京の新宿駅の近くの新大久保で、弁護士事務所開業。弁護士10年目を超えました。相続で悩まれている方、離婚や男女問題で悩まれている方などのサポートに力を入れております。ブログは主に相続に関することついて書きます。
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