新宿区新大久保に事務所がある、弁護士の水谷真実です。
相続の裁判で裁判の当事者が作成した「陳述書」を証拠として提出することがあります。
感情ではなく事実を記録することがポイントです。本ブログでは、その重要性と作成のコツをお伝えします。
陳述書とは何か?
陳述書とは、裁判において、自身が認識している事実を記載した書面です。
裁判官に、自身が認識している具体的な状況等を伝えることにあります。
ここで重要なことは、感情や主観ではなく、客観的な事実を書くことです。
例えば、「相手が亡くなった親の財産を勝手に引き出したのは許せない」といった感情的な主張は避けるべきです。
その代わり、「〇月〇日、相手が銀行で〇〇円を引き出したと確認した」という事実を書く必要があります。感情を交えると、誹謗中傷と受け取られかねず、裁判で不利になることもあります。
陳述書に書くべき内容
陳述書に書くべき内容は、例えば以下のような「事実」に関する事柄です。
・具体的な日時や場所
・実際に起こった出来事
・自分が体験した事型や聞いた話等
一方、自身の感情に基づく意見は、控えた方が良いでしょう。
相続に関する争いは、相手が肉親ということもあいまって感情が高ぶるおそれがあります。
そのため、冷静に事実を整理して伝える必要があります。
陳述書作成での注意点
上で述べた事と重なる側面がありますが、次のポイント等があげられます。
具体的で記憶に基づく記述
いつ、どこで、何が起きたかなどを具体的に記載をします。
相手が誹謗中傷と受け取りかねない表現は避ける
相手に対して投げかける表現は避けましょう。相手を責めたりする表現は避け、冷静に事実に基づいて記載をするべきです。
例えば、「相手が不正出金をした」と書くのでは無く、「〇月〇日に相手が預金を引き出した事を確認した」と記載をした方が良いです。
裁判官が読むことを意識する
裁判官が読みますので、読みやすい形式で作成しましょう。
弁護士の活用のしどころ
陳述書を作成する際、代理人の弁護士との間で、次の点などを確認してもらうと良いでしょう。
・記載内容が適切かどうか
・誹謗中傷と受け止められかねない表現や感情的表現となっていないか
・裁判で重要な点について記載があるか
最後に
相続争いは、感情的になりやすい場面が多いですが、裁判では冷静さが求められます。
陳述書もその例外ではありません。
相手に対して、色々伝えたいことがあるのはわかりますが、陳述書は相手に対する自分の思いや感情を込めて伝える書面ではないです。
事実を丁寧に記述し、感情を排除することで、裁判官に伝わりやすい書面を作成できます。

もし陳述書の作成に不安がある場合は、ぜひご相談ください。陳述書の内容整理から具体的な書き方まで、専門的なアドバイスを行います。