妹が亡くなりました。妹の預金などの引き出しをしたいのですが戸籍をみると、妹に外国籍の夫がおります。しかし、その夫とは離婚しているはずですし、20年以上やり取りも連絡もしておりません。
この場合は、失踪宣告の申立てをすることが考えられます。以下に、失踪宣告について説明をいたします。
失踪宣告とは
失踪宣告は、長期間にわたり行方不明となり、生死が不明な人に対して、その人について法律上死亡したものとみなす手続です。
法律上死亡とみなすことにより、例えば親族の人が相続手続を進めたり、婚姻関係を解消したりすることができたりします。
失踪宣告は民法第30条に基づいております。
一般的な失踪宣告についてですが、7年間生死不明の場合、利害関係人の請求により失踪者を死亡したものとみなされます。
また、特別な失踪として、船舶や航空機の事故、自然災害などの特殊な状況下で1年以上行方不明の際にも適用される場合があります。
(失踪の宣告)
民法第三十条 不在者の生死が七年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪そうの宣告をすることができる。
2 戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が、それぞれ、戦争が止やんだ後、船舶が沈没した後又はその他の危難が去った後一年間明らかでないときも、前項と同様とする。
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(失踪の宣告の効力)
民法第三十一条 前条第一項の規定により失踪の宣告を受けた者は同項の期間が満了した時に、同条第二項の規定により失踪の宣告を受けた者はその危難が去った時に、死亡したものとみなす。
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失踪宣告の申立て手続き
家庭裁判所に申立てることになります。
申立ての一般的な手続については、家庭裁判所のホームページに記載があります。
どこの裁判所に申し立てるか、必要書類はなにか、申立ての際にかかる費用等について記載があります。
流れ
書類を準備して、申立てをします。
管轄の裁判所に申立てをします。
私の場合は、ご依頼者の方の意向で急ぎたい場合には、証拠の書類が揃わない場合でも、まず申立てをします。
その後、必要な書類を裁判所に提出していきます。
裁判所で、申し立てた内容の審査が行われます。
裁判所とコミュニケーションをしっかりとりながら、進めていきます。
裁判所からなにか対応を求められたら、できるだけ迅速に対応して誠意を示していきます。
かかる時間
しっかり準備をして申立てを行えば、比較的短期間で終わります。一方、証拠が少ない中で行う場合は、裁判所とやりとりをしながら行っていくので、半年を超えるなりそれなりに長くかかる場合があります。
効果
裁判所により失踪の宣告がなされると、失踪宣告の申立てをされた人は法律上は死亡したものとみなされます。
そこで、相続手続が進んだり、再婚をしたりすることができるようになります。
なお、行方不明であった人の生存が明らかになった場合は、失踪宣告の取消しがなされることになります。
最後に
失踪宣告は、生死が不明な状態が長期間続いた場合に、法律上死亡したものとみなすことで、残された家族などが法的な問題を解決するなどして前に進めるようにするための大切な手続です。
相続や婚姻関係などに影響を与えるため、裁判所に申立てをして審査がなされるものです。場合によっては、失踪宣告が後で取り消されることもありえます。
何かの際に、失踪宣告をする場面になるかもしれません。
お困りの際には、ぜひ気軽に専門家に相談をして、具体的なアドバイスをもらうと良いです。
私も、サポートできますので、お気軽にご連絡・ご相談ください。